築30年以上マンションの“見えない劣化”|塩ビ配管の寿命と交換の目安


リノベーション済みのマンションと聞くと、内装も設備もピカピカ。
でも実は、“見えない部分”=配管が古いままというケースも少なくありません。

我が家のリノベーションをきっかけに調べてみると、
築30年以上のマンションでは塩化ビニール配管(塩ビ管)の劣化が進んでいる場合も多いことが分かりました。
この記事では、一般的な情報を交えながら、その「見えない部分」に目を向けてみたいと思います。


配管の種類と寿命の目安

マンションの配管には「給水」「給湯」「排水」「ガス」などがあり、
それぞれ材質や耐用年数が異なります。
以下は一般的に使われている素材と寿命の目安です。

種類材質寿命の目安劣化の特徴
給水管鋼管(亜鉛メッキ)約20〜25年サビ・赤水・腐食
給湯管銅管・樹脂管約25〜30年ピンホール漏水
排水管塩ビ管(VP・VU)約25〜35年硬化・割れ・接着劣化
共用排水管鋳鉄管約30〜40年内部腐食・詰まり

築30年を過ぎたマンションでは、どの素材も寿命を迎え始める時期に入ります。
表面がきれいでも、床下や壁の中までは更新されていないこともあるため注意が必要です。


塩ビ管(塩化ビニール管)の寿命と劣化の進み方

塩ビ管は軽くて扱いやすく、1980年代以降のマンションで広く使われてきました。
しかし、**経年による硬化や脆化(もろくなること)**が避けられず、
30年を超える頃から少しずつ老化が進みます。

劣化の進行イメージ

  • 10〜20年目:柔軟性が失われ、内部に汚れが付着
  • 20〜30年目:接着部分が劣化し、振動などで亀裂が入りやすくなる
  • 30年以降:ジョイント部からの水漏れや割れが発生

特にキッチンや浴室などの温水排水部分は、熱の影響で早く劣化することがあります。


塩ビ配管の種類と耐用年数の違い

種類特徴寿命の目安
VP管(硬質塩ビ管)強度が高く、主幹排水に使用約30年
VU管(薄肉塩ビ管)軽量でコストが抑えられ、横引き配管に使用約25年
HT管(耐熱塩ビ管)60〜80℃の高温排水に対応約30年
HIVP管(耐衝撃型)振動や寒冷にも強い改良タイプ約30年以上(条件による)

1980〜90年代築のマンションではVP管・VU管が主流で、
今ちょうど劣化が進み始める時期に差しかかっています。


劣化のサインを見逃さないために

配管は普段見えませんが、生活の中でこんなサインを感じたら注意です。

  • 床下や壁の中からカビ臭・湿気がする
  • 排水の流れが悪い、ゴボゴボ音がする
  • 配管の外側が白く粉を吹いている
  • 天井や床にシミが出ている

これらは、内部腐食や接着部の剥がれ、微細な漏水などのサインである可能性があります。


リフォーム・リノベ時が交換のベストタイミング

築30年以上のマンションでは、リフォームやスケルトンリノベーションの際に配管を一新するのが最も効率的
床や壁を剥がす工事と同時に行えば、コストを抑えつつ長寿命化が図れます。

工事内容範囲費用の目安
専有部(住戸内)給排水管交換キッチン・浴室・トイレなど約20〜40万円
共用部(縦管)更新管理組合による大規模修繕数百万円/棟単位

共用部分の縦管は、管理組合の「長期修繕計画」で30〜40年ごとに更新されるのが一般的。
専有部分(住戸内)は所有者判断で交換できます。


法律やルール上の位置づけ

配管の交換時期を定めた法律はありません。
ただし、共用部分は管理組合の判断、専有部分は個人の判断で更新します。
リノベーション物件を購入する際は、
「給排水管新設済み」と記載があると安心です。


まとめ|“見えない部分”こそ、長く住むための安心材料

チェックポイント内容
塩ビ配管の寿命約25~35年(条件により変動)
劣化サイン異臭・湿気・水漏れ・白化
交換タイミングリフォーム・リノベ時がベスト
法的義務なし(管理組合・所有者判断)
築30年以上物件配管交換の検討時期に入る

ワンポイントアドバイス

「リノベ済み」物件を購入するときは、内装だけでなく“配管まで新設されているか”も要チェック。
床下や天井裏の写真・工事報告書に「給排水管新設済み」と書かれていれば、安心材料になります。


まとめのひとこと

塩ビ管は丈夫で長持ちする素材ですが、**30年を超える頃から少しずつ老化が進む“プラスチックの宿命”**があります。
私たちもリノベーションをきっかけに配管まで見直しましたが、
内装の美しさだけでなく、“見えない部分の安心”が加わると暮らしの快適さが変わると感じています。

同じように築年数の経った住まいにお住まいの方も、
次のリフォームのタイミングで、ぜひ配管にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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